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『わたしたちの国立西洋美術館』

『わたしたちの国立西洋美術館』

NATIONAL MUSEUM OF WESTERN ART

『わたしたちの国立西洋美術館』

裏を知るほど、面白い。

渋谷シアター・イメージフォーラム アンコール上映 いよいよ1/12(金)まで!

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ル・コルビュジエ建築の世界遺産、東アジア最高峰の西洋美術の殿堂に密着したドキュメンタリー

製作・監督・撮影・録音・編集:大墻敦|
録音・照明:折笠慶輔|録音:梶浦竜司|カラーグレーディング:堀井威久麿|
音楽:西田幸士郎|演奏:閑喜弦介(クラシックギター)、多久潤一朗(アルトフルート)|
音楽録音・リレコーディング:深田晃|技術協力:KIN 大石洋平 宮澤廣行|
協力:国立西洋美術館|配給・宣伝:マジックアワー 
日本/105分/ドキュメンタリー/DCP ©︎大墻敦

全国順次公開中

国立西洋美術館公式サイト

Trailer予告編

Introduction作品紹介

ル・コルビュジエ建築の世界遺産、国立西洋美術館。
東アジア最大級の西洋美術コレクションを誇る
美術館の知られざる舞台裏に迫るドキュメンタリー。

多彩で、
情熱的で、
刺激的。

誰も知らない
「美術館の舞台裏」へ、
ようこそ。

モネ、ルノワール、ゴッホ、ピカソ……誰もが知る名画や数々の傑作を有する「国立西洋美術館」。大正から昭和にかけ、稀代のコレクターとして活躍した松方幸次郎の「松方コレクション」を基礎に、絵画、彫刻、版画、素描などおよそ6,000点の作品を所蔵し、東アジア最大級の西洋美術コレクションを誇る。2016年には世界的建築家ル・コルビュジエの建築作品のひとつとして世界遺産に登録され、日本を代表する美術館として、国内外から多くの来場者を集めている。
2020年10月、ル・コルビュジエが構想した創建時の姿に近づける整備のために休館した美術館の内部にカメラが入り、一年半にわたり密着。そこから見えてきた、美術館の「ほんとうの姿」とは…。アートの見方をがらりと変える、必見のドキュメンタリーが誕生した

ロダン彫刻「考える人」がぐるぐる巻きに、
「カレーの市民」が宙吊りに…!? 
知られざる、美術品の“お引越し”作業

2020年10月より1年半かけて行われた整備工事のため、美術館が有する数々の所蔵作品の“お引越し”をカメラが記録。通常は非公開の収蔵庫の様子や、展示作品がすべて取り払われる様子など、普段は決して見られない驚きの光景が目の前に広がる。
国立西洋美術館は、2022年4月9日にリニューアルオープン。ル・コルビュジエによる当初の前庭の設計意図が正しく伝わるように、1959年開館当時の姿に極力近づけた姿をお披露目した。

国立西洋美術館 前庭リニューアル前

国立西洋美術館 リニューアル後(2022年)

美術館で働く、美を守り、伝える人々

所蔵品の保存修復作業、コレクションの調査研究や海外・地方美術館への巡回展、特別展の企画開催…美術館の仕事は多岐にわたる。館長、美術史系学芸員、保存科学や情報資源の研究者、修復家など、専門知識と技術を有し「美」を守り支える、美術館のなかで働く人々の情熱と活動に迫る。

美術館のすぐそばに迫る“危機的状況”とは—

絢爛たる名画、傑作の数々が来場者を楽しませる一方で、美術館をとりまく現状は厳しさを増している。関係者や専門家へのインタビューからは、日本の文化行政が抱える難問と、彼らの目前に迫る“危機的状況”が浮かびあがる。

「松方コレクション」とは?

国立西洋美術館は1959(昭和34)年、フランス政府から日本へ寄贈返還された「松方コレクション」を保存・公開するために設立されました。
詳しくは、国立西洋美術館公式サイトよりご覧ください。

Director’s Note監督より

監督 大墻敦(おおがき あつし)

美術作品やそれに関わる資料・情報を集め、保存、研究、公開しながらコレクションの展示や特別展、教育普及活動を通じて、文化創造の拠点として存在する美術館。美術館はいったい誰のものなのでしょうか。

日本有数の歴史と実績を誇る国立西洋美術館の舞台裏を、2020年10月中旬から1年半の長期にわたり撮影したのが本作です。美術作品の移動作業、保存修復、前庭の彫刻を移動させる作業、学芸会議での白熱した議論、購入委員会での厳密な審査、常設展のリニューアルや特別展の打ち合わせや飾り付け、すべての現場の空気には静寂と緊張が満ちていました。そして、人類が生み出した宝である美術作品を、いかに守りその価値を人々に伝えるのかを考える学芸員や研究者、美術輸送の担当者、展覧会を主催するメディア企業の方々の真摯な姿勢に心をうたれました。映画を鑑賞される方々には、幸運にも私が立ち会うことができた美術館内での時間と空気を、まるでそこにいるかのように楽しんでいただき、いま何が問われているのか、についても思いを巡らせていただければと願っています。

「わたしたちの国立西洋美術館」というタイトルには、松方コレクションから始まる長い歴史をもつ国立西洋美術館が日本の美術鑑賞の環境にいかに大きな役割を果たしてきたのかを知った上で、日本の美術館・博物館の課題と将来像について考えていただきたい、という気持ちが込められています。また「奇跡のコレクション」が意味するのは、実業家の松方幸次郎が収集した作品に限らず、あらゆる美術作品が安全に保管され時に展示される背景に存在する、美術に関わる人々の不断の努力への謝辞です。

本作が完成し劇場公開されることになり、製作者としてたいへんうれしく感激しています。製作にご協力いただいたすべての方々に感謝します。美術に関わるすべての方々へ、美術鑑賞を愛する方々へ、そして、アートの仕事に就きたいと考える若い世代の方々へ、本作のメッセージが届くことを心より祈っています。

大墻敦 プロフィール

1963年(昭和38)生まれ。主な生育地、千葉県船橋市。
1986年に、一橋大学経済学部を卒業後、NHKに入局し釧路、東京、大阪などで勤務。ディレクター、プロデューサーとして「新・電子立国」「熊野奥駆け」「文明の道」「新・シルクロード」「世界遺産 1万年の叙事詩」「フィレンツエ・ルネサンス」「エジプト発掘」「歴史秘話ヒストリア」「夢の美術館 江戸の名画100選」「天才画家の肖像 葛飾北斎」「二重被爆 ヒロシマ・ナガサキを生き抜いた記録」などの番組製作に従事。
受賞歴は「課外授業ようこそ先輩 マギー司郎 おしゃべりマジックで強くなろう」(日本賞 東京都知事賞)「築地市場 大百科」(放送文化基金エンターテインメント賞)「Brakeless JR福知山線脱線事故」(アメリカ/Peabody Award 2014)など。
2019年にNHKを退職し桜美林大学教授。メディア産業、デジタルコンテンツビジネス、映像製作などについて教えている。
自主製作映画「録音芸術の現場 Duo Concertante: Rainer Küchlと福田進一」、ショートドキュメンタリー「日本画家・竹内浩一 芳春院の襖絵を描く」、YouTube上で視聴が可能な映像作品としては「高橋悠治、青柳いづみこ 4手連弾によるストラビンスキー春の祭典」「クラシックギター製作者 櫻井正毅」などがある。2018年より「ル・ポン国際音楽祭 赤穂・姫路」でアドバイザーを務め、クラシック音楽、文楽、女流義太夫など、文化、芸術の分野で映像製作活動を積極的に展開。
監督第1作となる、文化記録映画「春画と日本人」(キネマ旬報ベストテン2018年文化映画 第7位、第74回 毎日映画コンクールドキュメンタリー映画賞ノミネート)を劇場公開。本作は、映画「スズさん 昭和の家事と家族の物語」(2022)に続く、第3作となる。

History国立西洋美術館の歴史

国立西洋美術館の歴史

  • 1916
    ~18

    川崎造船所初代社長の松方幸次郎、ヨーロッパ出張の際に美術品を収集し、「共楽美術館」と名付けた美術館の建設を構想する。

  • 1921
    ~22

    松方、2度目の美術品収集。パリ郊外にあるクロード・モネの自宅を訪れ、直接作品を購入する。

  • 1924

    輸入品に100パーセントの税金がかかる関税法が実施され、松方はパリとロンドンにコレクションを残す。

  • 1928

    関東大震災、昭和金融恐慌により川崎造船所の経営が悪化。松方は責任を取って社長を辞任し、苦境に陥った会社を支えるために私財のコレクションを提供する。

  • 1939

    ロンドンの倉庫に残した約950点のコレクションが焼失。

  • 1951

    サンフランシスコ平和条約締結の際、吉田茂首相はフランス政府が差し押さえていた松方コレクション約400点の返還を要求。政府は美術館建設などを条件に寄贈返還に応じる。

  • 1955

    フランスの建築家ル・コルビュジエが美術館設計のために来日。

  • 1959

    6月10日、国立西洋美術館開館。初年度は松方コレクションの常設展示だけで58万人もの入場者を集める。翌年2年目からは企画展も開催。

  • 1964

    「ミロのヴィーナス特別公開」83万人を動員。

  • 1979

    開館20周年に新館がオープン。設計はル・コルビュジエの弟子である前川國男が担当。

  • 1994

    「バーンズ・コレクション展」国立西洋美術館最多記録の107万人を動員。

  • 2001

    独立行政法人に移行。

  • 2007

    本館が重要文化財に指定される。

  • 2009

    開館50周年を迎える。「ルーヴル美術館展」85万人を動員。

  • 2016

    7月17日、第40回世界遺産委員会において、国立西洋美術館を含む「ル・コルビュジエの建築作品-近代建築運動への顕著な貢献-」(7か国17資産で構成)が世界遺産一覧表へ記載された。

国立西洋美術館で開催された主な特別展の数々

  • 1961

    ルーブルを中心とするフランス美術展 入場者数722,082人

  • 1964

    ミロのビーナス特別公開 入場者数831,198人

  • 1966

    ロダン展:没後50年記念 入場者数318,880人

  • 1967

    ポンペイ古代美術展 入場者数323,302人

  • 1971

    ゴヤ展 入場者数574,502人

  • 1974

    セザンヌ展 入場者数541,149人

  • 1976

    オランダ国立ヴァン・ゴッホ美術館所蔵 ヴァン・ゴッホ展 入場者数435,160人

  • 1980

    フラゴナール展 入場者数371,168人

  • 1981

    アングル展 入場者数339,491人

  • 1982

    ミレーの「晩鐘」と19世紀フランス名画展: ミッテラン大統領来日記念 入場者数531,144人

  • 1982

    モネ展 入場者数386,181人

  • 1985

    ゴッホ展 入場者数398,088人

  • 1986

    ターナー展 入場者数310,148人

  • 1987

    欧州評議会特別展 西洋の美術: その空間表現の流れ 入場者数611,983人

  • 1988

    ジャポニスム展: 19世紀西洋美術への日本の影響 入場者数466,372人

  • 1990

    プラハ国立美術館所蔵 ブリューゲルとネーデルランド風景画展 入場者数335,553人

  • 1991

    ルーヴル美術館特別展: 肖像表現の展開 入場者数469,426人

  • 1994

    ヴァチカンのルネサンス美術展: 天才芸術家たちの時代 入場者数323,514人

  • 1994

    バーンズ・コレクション展 入場者数1,071,352人

  • 1994

    1874年―パリ[第一回印象派展]とその時代 入場者数476,550人

  • 1999

    エルミタージュ美術館所蔵イタリア・ルネサンス美術展
    ─フィレンツェとヴェネツィア: 開館40周年記念特別展 入場者数402,896人

  • 1999

    オルセー美術館展─19世紀の夢と現実 入場者数586,273人

  • 2002

    プラド美術館展: スペイン王室コレクションの美と栄光 入場者数516,711人

  • 2004

    マティス展 入場者数451,105人

  • 2009

    ルーヴル美術館展17世紀ヨーロッパ絵画 入場者数851,256人

  • 2013

    ラファエロ展 入場者数505,246人

  • 2019

    松方コレクション展 入館者数 472,130人

引用元:国立西洋美術館公式サイト

Comment館長よりコメント

映画「わたしたちの国立西洋美術館 奇跡のコレクションの舞台裏 」に寄せて

約8年の館長としての在任中、館の業務が外の人にあまり知られていないと痛感した。展示場の片隅に座っている人を学芸員だと勘違いする。閉館している間は内部の人間は暇だと思われる。いつかある新しい美術館の開設準備委員会で、「集客を伸ばすために毎日開館したらどうか」という提案を聞いて、「作品の手当てはいつするんですか、展示替えとかいつやるんですか?」と返したらびっくりしていた。

表に見える美術館の活動は、氷山の一角に過ぎない。そうしたことをHPなどで紹介しても限りがある。すでに欧米の美術館の活動紹介映画はいくつかあって、それぞれに興味深いものだったので、国立西洋美術館でもこういったものができないかと思っていたから、大墻さんから映画を作りたいというご提案を受けて大変ありがたかった。

国立西洋美術館はロンドン・ナショナルギャラリーや、アムステルダム国立美術館などと比べれば予算も人員規模もかなり小さいのだが、特別展で大きなものがあれば、相当な数の入館者がある。コロナ前には日本の特別展入館者数は世界の年間ランクでどれかはいつも一桁に入っていた。しかしそのための準備や日常的にどんなことが行われているかの発信が少ないので、苦労が伝わらないうえに問題は何も改善されない。

今回試写を見て、あらゆる分野の仕事をする人に話を聞いてもらって、職員たちが本当にプロ意識をもって真摯に業務に取り組んでいることがわかり、また彼らがこの仕事を愛してやりがいを感じていることが伝わってきた。この映画を見て、将来学芸員になりたいという子どもたちが増えてくれることを祈る。また、美術好きの方々が、作品を見るときに裏でどんな努力がされてきたかをちょっとでも思い出してくれたら嬉しい。さらにいくら言葉で説明してもわかってくれない政府のお役人たちにもぜひ見てもらいたい。

馬渕 明子(まぶち あきこ)

国立西洋美術館長(2013〜2021)

茅ケ崎市生まれ。美術史家。日本女子大学名誉教授。
東京大学教養学科卒業後、東京大学大学院、パリ第四大学大学院博士課程で美術史を学ぶ。東京大学助手、国立西洋美術館主任研究官、日本女子大学人間社会学部教授等を経て、2013年独立行政法人国立美術館理事長ならびに国立西洋美術館長に就任。2021年3月に退任後も、研究者として講演や執筆活動に勤しむ。

主著:『美のヤヌス―テオフィール・トレと19世紀美術批評』(スカイドア、1992年、サントリー学芸賞)、『ジャポニスム―幻想の日本』(ブリュッケ、1997年、ジャポニスム学会賞)、『舞台の上のジャポニスム 演じられた幻想の日本女性』(NHK出版、2017年)

主な展覧会監修:『大回顧展モネ 印象派の巨匠、その遺産』(国立新美術館、2007年)、『KATAGAMI-Style』(三菱一号館美術館、2012年)、『北斎とジャポニスム HOKUSAIが西洋に与えた衝撃』(国立西洋美術館、2017年)

映画『わたしたちの国立西洋美術館 奇跡のコレクションの舞台裏 』が描き出すもの

美術館というと、大がかりで華やかな展覧会だけがその活動だと思いこんでいる人は少なくないかもしれない。しかし、そもそも美術館は催しもの会場ではない。今ではもう珍しくなったが、かつてはデパートの上階でよく美術展が開かれており、そのせいもあり、美術館は何よりも催しものをする場のように思われてしまったのだろうか。

そうした興行的な活動が目に映りやすいためか、あるいは人々が大挙して押し寄せる大規模な展覧会のほうが話題にのぼりやすく印象が強いためか、美術館は収益事業のための施設だと誤解される方もいる。実際には、一つの展覧会の開催にかかる経費は、入場料収入ではまったく回収できないのだが・・・。美術館は学術的な研究機関でもあり、そうした活動は、言うまでもなく利益を生むわけではない。

美術館の仕事は多岐にわたり、華やかな表の顔の背後には地味で地道な業務からなる舞台裏が大きく広がっている。それがどのようなものなのかは、ぜひこの映画でご覧いただきたいが、ここでとくに強調しておきたいのは、そうした仕事をしているのは、実のところ個々の人間たちだということである。美術館としての大きな使命の達成を目指してはいるが、多くの活動は、一人ひとりの人間の想い、理想、好奇心や探求心、そして葛藤や執念、ときには挫折によって動かされている。美術館もまた、人間のドラマの場となっているのである。美術館で働く個々の人たちを突き動かしているものは何か。このドキュメンタリーは、そのことを見事に捉えており、そのドラマをこそぜひとも見ていただきたいと思う。

田中 正之(たなか まさゆき)

国立西洋美術館長(2021〜)

1963年生まれ。1990年東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了後、ニューヨーク大学美術研究所で学ぶ。専門は西洋近現代美術史。1996年より国立西洋美術館研究員、『マティス展』(2004年)、『ムンク展』(2007年)などを担当。2007年に武蔵野美術大学造形学部准教授、2009年に教授となる。2011年より2015年まで、同大学美術館・図書館館長も務めた。2021年4月より現職。
主著に『近代の都市と芸術7 ニューヨーク―錯乱する都市の夢と現実』(竹林舎、2016年)、『現代アート10講』(武蔵野美術大学出版局、2017年)、『西洋美術史』(美術出版社、2021年)、『西洋絵画を知る100章』(平凡社、2022年)など。


著名人より推薦コメント
(五十音順)

井浦新さん(俳優)

絵画を見て作家を感じるように、美術館に行くとそこで働く「人」の想いを感じる。
何百年も前の芸術が目の前にあることは当たり前ではない。学芸員や研究者、美術館で働く多くの人々の苦労があってのこと。もしかしたらそんな舞台裏を私たちは知らなくても良いのかもしれない。だけど、知ってから美術館に行くと、知る前より、きっと、もっと楽しくなる。

伊東順二さん
(美術評論家、プロジェクト・プランナー、プロデューサー)

このドキュメンタリーが示すのは博物館学的技術の詳細なドキュメントだけでなく本来の保存業務を果たしながら変動する時代の要請に可能な限り応えようとする美術館の姿であり、どの分野においても正解が定まらない中で他の美術館のモデルとならなければならないという責務を必死に果たそうという人々の証言である。

岩﨑余帆子さん(ポーラ美術館 学芸課長)

淡々と綴られる美術館の「なかの」日常。
「美」を守り、伝える人びとそれぞれの日々が記録されています。
美術館に勤める者としては、思わず「お疲れさま!」と声をかけたくなるような、リアルなドキュメンタリー映画です。

片岡真実さん
(森美術館 館長、国立アートリサーチセンター センター長)

世界の美術館界はいま、多様性、包摂性、持続可能性を重視する方向へ大きく舵を切りつつある。アジア各地では大型美術館が設立されている。国立西洋美術館をはじめ、すでに様々な歴史を刻んできた我が国の国立美術館は、いままさに岐路に立たされている。これは複雑に絡み合う多様な問いを、実にタイムリーに「わたしたち」に投げかける映画だ。

中野京子さん
(「怖い絵」著者・ドイツ文学者)

日本の美術館が置かれている経済的にきわめて厳しい状況がよくわかった。一方でしかし、素晴らしい名画がこんなに多く所蔵されていること、また学芸員やスタッフたちの優秀さや芸術への熱い思いが伝わってきて、未来は決して暗くないと希望が持てた。

中村剛士さん
(アートブログ『青い日記帳』主宰)

学生時代初めて自らの意思で訪れた国立西洋美術館。それから30年以上に渡り何百回と足を運んでいる馴染み深い美術館ですが、この映画を観るまで内情がこれほど複雑で仕事も多岐に渡っていることを知り得ませんでした。また資金面で困窮し単独で展覧会を開けないといった実情も赤裸々に語られておりまさに驚きの連続でした。

橋本麻里さん(ライター、エディター)

国立西洋美術館にはもう長い間、特別展開催のための予算がつけられていない。そのようなものとして、「わたしたち」の選んだ政府が、「わたしたち」の文化行政を設計してきた。美術に無私の奉仕を捧げる「わたし」。この映画や美術に無関心の「わたし」。あらゆる「わたし」を包摂する「わたしたち」のために、文化や美術はどのようなかたちで存在するべきなのか、いま一度考えたい。

山田五郎さん(評論家)

足りない予算と人手を補う、努力と工夫と責任感。国立西洋美術館は、ル・コルビュジエが設計した建物だけでなく、所蔵する作品も、そして何よりそこで働く人たちの頑張りも世界遺産級といえるだろう。

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※上映時間および詳細は、各劇場へお問い合わせください。
※劇場情報は随時更新いたします。

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